ソフトバンク株の下落の原因についての考察
ソフトバンク株の下落について
昨日上場されたソフトバンクの株価について書きたいと思います。今回ソフトバンクは公募価格(募集価格ともいう。金融商品取引所に新規に公開する株式を投資家が購入する価格)を1,500円としていましたが、上場初日の株価はさえず、終値(その日の各取引時間内において、最後に取引された値段)は、1282円にとどまりました。この理由は大きく分けて6つあると言われています。
①大規模な通信障害
12月6日にソフトバンクの大規模な通信障害が発生しました。通信障害そのものは当日中に解消したものの、顧客に多大な影響を与えました。
②ファーウェイの問題
ファーウェイの問題に対してソフトバンクは基地局に用いられているファーウェイ製の設備を全て交換することを発表しました。その設備金額は年数百億円のコストがかかると言われています。
③公開価格が高過ぎた
予想株価収益率(=PER、株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度。同業他社と比べて高ければ割高、低ければ割安とされます。)がソフトバンクは16倍弱となっていました。これは同業のKDDI(10倍強)、NTTドコモ(13倍強)と比較すると、高い数字となっており、割高といえます。
④ペイペイでの不正請求の問題
ヤフーとソフトバンクが共同出資するスマホ決済のペイペイで不正請求が起きています。
⑤通信事業としての成長性の不安
楽天が新規参入すれば価格の安さなどの理由でソフトバンクユーザーが楽天に流れる可能性もあります。また、政府による携帯電話料金値下げの議論もあります。これから事業を拡大していけるのか疑問が残ります。
⑥そもそも相場環境が悪い
米中摩擦の影響で世界的に景気減速懸念がくすぶる中での上場だったため。
これらの理由から、今回ソフトバンクは大きく株価を下げてしまったと言われています。
しかし、個人的には配当利回りが5%ということ、孫正義というカリスマが経営する会社であることもあり、これから少しずつ回復していくのではないかと思います。
ドン・キホーテホールディングス
ドン・キホーテホールディングス
何をする会社?
総合ディスカウントストアを中心に小売事業(傘下の長崎屋によるスーパーマケット事業など)やテナント賃貸事業、自社開発商品事業などを行なっている。
会社の強み・特徴
ドン・キホーテには年間約4億人もの人が訪れ、高い集客数を誇っている。また、2018年度8月発表時点で29期連続増収・営業増益を達成している。
ROE(株主から預かったお金でどのくらい効率的にお金を増やしたか示す指標。数字が大きいほど良い。)は13.3%であり、これは同業のイオンで2.15%、セブン&アイ・ホールディングスの7.61%と比べると驚異的な数字であることがわかる。
また、小売店でありながら、オリジナル商品の開発も手がけており、(2009年に「情熱価格」から発売された690円のジーンズなど)売り上げは全売り上げの約10%を占める908億円を記録している。
ドン・キホーテの強みを『ドン・キホーテだけが、なぜ強いのか?』で坂口孝則氏は7つのポイントで示している。
1. 圧縮陳列 …商品を圧縮して陳列することで多くの商品を同時に顧客に見せることができる。ゴチャゴチャした商品の中から欲しいものを探すことによって顧客はトレジャーハント的な愉悦を感じることができる。
2. 深夜営業 …他店が営業しない深夜も営業することでより多くの顧客を獲得できる。また、深夜は酔った顧客が面白がって商品を買ってくれる。
3. インバウンド戦略 …インバウンド消費とは訪日外国人による国内での消費活動を示す言葉。日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語の店内放送を流し、店内のPOP(広告)にも様々な言語を用いることで外国人の日本商品の購買を促進している。
4. 現場委譲、POPまで各店で作る機敏性 …店舗毎に商品の仕入れなど権限を現場に委譲し、臨機応変かつ地域に即した現場作りを行なっている。
5. PB(プライベートブランド)力 …消費者の需要を把握し、自社ブランドの商品を店頭に並べることで売り上げの増加と販売コストの削減を実現している。
6. 食品領域の強み …総合スーパーである長崎屋を傘下に入れ、食品販売のノウハウを手に入れている。食品は小売事業のうち33.1%の売り上げを占めている。
7. 異空間演出力 …CVDAと呼ぶ店舗づくりを志向している。CVはコンビニエンス(便利さ)Dはディスカウント(安さ)Aはアミューズメントを示し、買い物自体をエンタメ化しようと試みている。
感想
店舗を見ると、たくさんの商品がゴチャゴチャ並んでいて見辛いなと思っていましたが、それらに理由があることに驚きました。また、深夜ビジネスの開拓者であったことにも驚きました。(コンビニエンスストアが深夜営業を取り入れるよりも早かったそうです。)
最近ではユニーのスーパーマーケット部門を買収しました。小売業者の売り上げ第4位となり、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しており、これからが楽しみな企業だと思いました。
参考文献
・ ドン・キホーテホールディングスホームページ(http://www.donki.com)
・ 『ドン・キホーテだけが、なぜ強いのか?』 坂口孝則 株式会社PHPエディターズ・グループ (2018/11/30)
Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)
Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)
何をする会社?
主な事業内容は3つ
①交通システム 自動運転・コネクテッドカーに関する研究
②製造業 ロボットや工作機械の研究
③バイオヘルスケア 医用画像の解析、血液によるガンの早期診断技術の研究開発
AIの一種でもある「深層学習」を用いた機械制御や医療診断の実用化に取り組んでいる。トヨタ自動車や日立製作所、中外製薬など幅広い業種と取引をしている。
会社の特徴
2006年に東京大学や京都大学の学生6人で立ち上げた検索エンジンの会社が前身。2014年に現在のPreferred Networksを設立。100人余りの社員の中で営業マンはゼロ。「下請け仕事はやらない」と宣言している。技術者の大半は20〜30歳で就職条件は「コンピューターに精通していること」
2018年12月18年現在、推定企業価値が2402億円(日本経済新聞)とされており、日本で唯一の「ユニコーン」(企業価値10億ドル以上の未上場企業)である。
強み
現在、トヨタと「ぶつからない車」を共同研究している。 他にも日立製作所や中外製作所などからも出資を受けており、幅広い業種にAIの技術を提供している。これからAI技術やIoTの発展が予想される中、日本有数の技術を持つPreferred Networksは日本社会のAI化に大きく貢献することが予想される。
感想
メルカリが上場を果たし、日本で唯一のユニコーンとなったPreferred Networksを取り上げました。今回ブログにした理由は日本経済新聞に日本のユニコーンの特集が組まれており、そこでPreferred Networksが取り上げていたからです。専門知識がないため、あまり深く調べることができませんでしたが、これから日本のグーグルとなる可能性をもった会社だと感じました。トヨタ自動車が115億円の出資、また日立製作所とファナック、Preferred Networksの三社で共同出資会社を設立したことからも期待が伺えます。
参考文献
- 日本経済新聞(2018/12/18)
- Preferred Networksホームページ(https://www.preferred-networks.jp/ja/)